中川家住宅能舞台および土蔵は、長浜市南部の地福寺町に位置する中川家住宅敷地内に建ちます。能楽師であった中川清氏が、昭和6年に自身の住居に隣接して能舞台を建て、その子である中川雅章氏も父の跡を継いで能楽師となり、地域の能楽文化の興隆と伝承を、この能舞台を活用しながら続けました。
能舞台は、西を正面とし、切妻造の本屋の四周に下屋を廻して、北側の下屋を昭和 39年に楽屋に増築しています。本舞台は、東に地謡座(注1)、北に後座(注2)と橋掛(注3)を設け、南と西に畳敷の見所(注4)を備えた本格的な能舞台です。能舞台西側には土蔵があり、能関連の衣装や道具を収納しています。長浜曳山祭で奉納する子ども歌舞伎を支えた能楽や謡の文化は、周辺の農村にも波及し、高度な農村文化が育っていたと考えられています。中川家住宅能舞台は、関連道具などを所蔵した土蔵とともに、地域の伝統芸能の広がりとそれを支えた建造物として貴重です。
(注1)地謡座(じうたいざ):本舞台の向かって右に張り出された床。地謡方が着座します。
(注2)後座(あとざ):本舞台の後方。囃子方や後見(補助の役目の者)が座ります。
(注3)橋掛(はしがかり):鏡の間と本舞台との間を斜めにつないでいる廊下。
(注4)見所(けんしょ):観客席。

中川能舞台 WEBサイト

登録内容

登録対象能舞台・土蔵
年代能舞台:昭和6年(1931) 土蔵:明治前期
構造及び
形式
能舞台:木造平屋建、瓦葺 土蔵:土蔵造2階建、瓦葺
建築面積能舞台:139㎡ 土蔵:22㎡
登録の基準能舞台:2 土蔵:1