2025年6月12日・13日の2日間、全国登文会全国大会が、京都にて開催されました。12日は文化財ツアー3コースと全国登文会フェスタが、13日は文化財ツアー3コースと全国登文会総会が行われるというとても贅沢な内容でした。12日は銀閣寺界隈コース、南禅寺界隈コース、京都迎賓館コースのうち、南禅寺界隈コースをご紹介します。

南禅寺界隈別荘群は、南禅寺の広大な敷地が、明治時代に政府より払い下げられ、政府の要人や実業家が別荘を建てたエリアですが、滋賀県の近江商人が別荘を所有した場所として知られており、我々滋賀登文会としてもとても興味深いエリアです。
見学させて頂いた對龍山荘は、薩摩出身の実業家・伊集院兼常の別荘として建てられた後、彦根出身の呉服商・市田弥一郎が7代目・小川治兵衛により庭園を改修しました。庭園は1988年(昭和63年)に国の名勝に指定、建物は2024年(令和6年)に重要文化財に指定され、現在は、ニトリホールディングスが所有しています。


昼食の会場になった順正書院がある南禅寺・順正は、オランダ医学を学んだ医師・新宮凉庭が1839年(天保10年)に開設した文化サロンとしても使われた医学塾が起源です。「名教楽地」の文字が記された石門をくぐると1200坪の庭園が広がりますが、これは当時、薬草畑だった庭園を南禅寺・順正が整備したものだそうです。石門と書院は、登録有形文化財に登録されています。

大寧軒は、現在は南禅寺が所有し、通常は非公開ですが、今回、特別に見学させて頂きました。茶道・藪内家が所有していたとき、11代・竹窓紹智によって池泉回遊式庭園が作られ、庭園には様々な種類の緑の苔のじゅうたんが豊かに広がり、滝から流れる清流の音が優しく聞こえました。
今回、特別に案内して下さったガイドさん(植彌加藤造園)によると、琵琶湖疏水には、当時、南禅寺界隈を工場地化する目的があったそうです。しかし、計画が水力発電に変更となったことから、南禅寺界隈の土地は高級別荘地に転用されることになり、その結果、南禅寺界隈別荘群は、東山を借景に琵琶湖疏水の水を利用した池泉回遊式庭園として、日本の近代庭園の先駆けとなったという歴史的背景があったのです。
中村昌夫先生が提唱した、まさに「庭屋一如」の如く、自然と調和する見事な建物が並ぶ南禅寺界隈別荘群は、明治時代以降、所有者が変わりながらも伝統を大切に受け継ぎ、文化財として次代に残すというミッションを持つ素晴らしいエリアです。登録文化財所有者の会の存在意義を改めて考えさせられる素晴らしい見学ツアーでした。
午後から、旧京都市立立誠小学校であるヒューリックホールで、全国登文会フェスタが開催され、華道家元池坊 次期家元 池坊専好さまによる「池坊華道の歴史と文化財・伝統を未来へつなぐ」のご講演、田中峰子京都府国登録文化財所有者の会 副会長とのご鼎談で「京の文化を愉しむ」を伺いました。
初日12日の最後は、フォーチュンガーデン京都 島津製作所 旧本社で交流懇親会。京都登文会のみなさんの心からのおもてなしに感嘆しつつ、翌日13日の総会も楽しく有意義な会に出席させていただきました。
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