大津市旧大津公会堂は、昭和8年(1933)5月に起工し、翌昭和9年(1934)5月に竣工祝賀会が催されました。昭和21年(1946)には全国で初といわれる公民館となり、県立図書館が移設されました。設計は大津市土木課、施工は地元の澤村組です。東西に長い縦約28m、幅約17mの長方形平面で、東側に車寄せを張り出し正面玄関とし、玄関ホールの両脇に階段室を設けています。西側にも小振りの車寄せを置き、出入口としています。
外観は、左右対称の意匠で、縦長の窓など直線的な意匠を基本に、丸窓や半円形のアーチ窓をちりばめています。外壁は、縦引きのスクラッチタイルを張り、正面窓廻りなど要所にモルタル塗りの幾何学的な装飾を配します。県内に残されている昭和はじめに建設された鉄筋コンクリート造公共建築の代表例です。
平成22年(2010)3月に耐震性の向上、設備機器の充実やバリアフリー化に対応する工事が完成し、外観は当初のまま維持され、特に玄関ホールから階段室廻り、2階、3階も意匠的に重要な部分は復原的に改修され、現在は、地階に2店、1階に2店の飲食店が入り、2階は貸し会議室と多目的室、3階はホールとなっています。
常に市民の交流の場として親しまれてきた昭和初期の雰囲気を伝える建築を、飲食店が入るなど新たな用途を加えながら、集客交流・まちづくり拠点施設として活用されている好例です。

旧大津公会堂 WEBサイト

登録内容

登録対象公会堂
年代昭和9年(1934)
構造及び
形式
鉄筋コンクリート造、3階地下1階建
建築面積430㎡
登録の基準1